No.05 2007/11

オーライ!長崎ニュース(毎月10日発行)

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島原特集

島原地域は長崎県の南東に位置する半島で、火山景観や変化に富んだ海岸線等の美しい自然は日本初の国立公園「雲仙天草国立公園」に指定され、雲仙、小浜、島原という歴史ある3つの温泉を有する観光地であるとともに、温暖な気候に恵まれた県内有数の農業地帯でもあります。

平成新山がんばランド(火山学習プログラム)

11月19日(月)から23日(金)の5日間、雲仙・普賢岳の噴火災害から復興した島原市で第5回火山都市国際会議島原大会(主催:島原市、日本火山学会)が開催され、火山と共生する都市(まち)づくりがアピールされた。今回は、島原市の雲仙岳災害記念館を核施設として、新たに誕生した平成新山や水無川流域一帯等の被災跡などを、まるごと一つの野外博物館(フィールドミュージアム)として活用する火山学習プログラムを取材した。

ボランティアガイドの大石さん案内をお願いした「島原観光ボランティアガイド」の大石さんと、雲仙岳災害記念館で待ち合わせた。案内は依頼者の車やバスで、いっしょに回っていただける。

雲仙岳災害記念館雲仙岳災害記念館は、平成2年11月にはじまった平成噴火の脅威と教訓を後世へ伝えるために設置された施設で、火砕流と土石流を直径14mのドーム型スクリーンで疑似体験できる「平成大噴火シアター」などの展示を通して、火山のメカニズムや防災について学習することができる。

14年ぶりに発見された被災カメラ11月1日からは、平成3年6月3日の大火砕流で犠牲となられた日本テレビカメラマンの被災カメラやそのカメラに残った実写映像を基に編集したドキュメンタリー映像などの展示が新しく追加されている。

大石さんの案内で雲仙岳災害記念館を後にし、土砂災害からの安全性確保のため平均6mものかさ上げが実施された安中三角地帯を北上し「島原まゆやまロード」に向かった。ここからは、火砕流や土石流によって埋没した上木場地区の全景や、平成3年6月3日の火砕流で多くの方が犠牲となられた「定点」と呼ばれる場所が一望できる。眼下には、今も続けられている防災工事のダンプ自動車が豆粒のように小さく見えた。

ネイチャーセンターから見た平成新山続いて向かったのは、垂木台地に建つ「平成新山ネイチャーセンター」。ここは、溶岩ドームや火砕流の跡地を観察し自然が回復していく様子を間近に体感・学習できる施設で、「平成新山」の山頂から2.5kmと、車で最も山頂に近づける場所だ。山頂付近から上がる蒸気の温度は一部では約215度もあるとの説明を聞き、山は生きていると感じた。

旧大野木場小学校と大野木場砂防みらい館山頂から5.5kmの距離にある「桜パーク」には、「火砕流最長到達点」と書かれた碑がたてられており、あらためて火砕流の威力を知り、続いて、「旧大野木場小学校被災校舎」と隣接する「大野木場砂防みらい館」へ向かった。ここには、背後の水無川を駆け下りた火砕流の熱風を受けて内部が焼失した校舎が、災害遺構としてそのままの形で保存されている。不思議なことに、熱風がやって来た北側の窓ガラスの損傷は少ないのに、風下にあたる南側の窓ガラスは全て吹き飛んでいる。これは、熱風が屋根の上を北側から南側に回り込み、南側の窓ガラスに吹き付けたために起こった現象とのことだ。

土石流被災家屋保存公園最後に訪れたのは、「土石流被災家屋保存公園」。ここは、平成4年8月8日〜14日の土石流で被災した家屋11棟を、そのままの状態で保存(うち、一棟は移築)することで、土石流災害の脅威を伝えている。お昼時に訪れた保存公園は、道の駅「みずなし本陣ふかえ」に隣接しており、団体客で賑わっていた。

今回、2時間という短い時間ではあったが、火山のメカニズムや災害の脅威など幅広く学習することができた。大石さんの所属する島原観光ボランティアガイドでは、このほかに「島原さるく」なども実施しており、島原観光等と組み合わせればたっぷり1日楽しめるはずだ。また、雲仙岳災害記念館では、長崎県内の小・中・高の学生のグループを対象に、貸切バスなどの交通費助成も行っているので、島原半島を訪れる際にはチェックをしておきたい。

ところで、「皆さんに喜んでいただけるのが嬉しい」と言われる大石さんも、被災者のお一人とのことであり、義援金やボランティア活動で支えてくれた全国の皆さんへのお礼の気持ちを込めてガイドを務められている。島原を訪れる際には、ぜひ案内をお願いしてみては如何でしょうか。

島原の郷土料理「いぎりす」

土石中屋全景「いぎりす」という洒落た名前の郷土料理があると聞き、島原城の海側、通称「東堀端通り」にある海産物卸問屋の中屋を訪ね、現社長のお母さんである中島文枝さんにお話を伺った。

土石中屋店内中屋は、みそ、しょうゆの製造元として文化2年(1805)に創業した老舗で、今では、みそ、しょうゆの製造に加え、海産物などの特産品の販売に飲食部門を加えた製造小売店として営業している。飲食部門は、「お城の回りに茶屋もないから」とみそ蔵を改造してつくった雰囲気のあるお店だ。

土石乾燥前の「いぎす草」「いぎりす」とは、島原市から半島南部の南島原市加津佐町あたりにかけて採れるこの地方特産の「いぎす草」という海藻を原料として作る郷土料理で、いつ頃からかそれが訛って「いぎりす」と呼ばれるようになったものだ。もともとは、子供達が都会から戻ってきたときや、建ち家や冠婚葬祭の後に我が家に帰って飲み直すときなどに振る舞われた家庭料理だ。

作り方は簡単で、米のとぎ汁で乾燥した「いぎす草」を煮溶かし、野菜や魚などの具を加えて、型に入れて冷ませば出来上がりだ。具は、中屋さんではニンジンと白身魚を使っているが、島原では細かく刻んだニンジンとアジ、サバなどを、深江、布津方面では落花生を煎ってたたいたものを入れるなど地域によって異なる。昔は、今では高級となった焼きあなごや舌びらめを入れることもあったそうだ。

中屋では、何度も水にさらして乾燥した「いぎす草」の販売もしていて、購入者には、2〜3合の米を洗った程度の薄いとぎ汁では「いぎす草」はうまく溶けないからと、米ぬかをいただける。

六兵衛うどん定食の「いぎりす」中屋のおすすめは「六兵衛うどん定食」。いづれも郷土料理である「ろくべえうどん」、「いぎりす」、「ごまどうふ」に、おにぎりとコーヒーがついて1,050円と手頃な値段だ。「いぎりす」の食感は、ところてんとかまぼこの中間ぐらいの歯ざわりで、ほんのり磯の香りがする。そのままでもおいしいが、香りが気になる方は、ワサビを付けて食べても良い。

中屋には、観光客の来店も多く、取材当日も、大阪と栃木から来たという旅なれた感じの旅行者が、それぞれ食事に来ていた。珍しい郷土料理は、材料や食べ方を一人一人に説明しながら出していただける。また、いろいろと質問をしても、中島さんがてきぱきと笑顔で対応してくれるので、自分でも作ってみたいと思い、帰りに、隣の物産販売店で「いぎす草」を買って帰った。

11〜12月のイベント・観光スポット

イベントカレンダー/11〜12月

島原ウインターナイト
 ・ファンタジア
11月17日〜1月6日 島原城堀端桜並木、
島原外港緑地公園
島原・雲仙学生駅伝 12月1日 (スタート・ゴール:島原市)
第31回雲仙市湯
・YOUマラソン大会
12月2日 雲仙市小浜町
島原の産業まつり 12月8〜9日 島原市霊丘公園

観光スポット

島原城(しまばらじょう) 島原市城内
島原城(しまばらじょう)島原市城内  島原藩主松倉重政によって元和4年(1618)から7年をかけて築かれた城で、現在の天守閣は昭和39年(1964)に復元。キリシタン弾圧による「島原の乱」の貴重な資料を展示したキリシタン史料館などとして利用されています。
武家屋敷(ぶけやしき) 島原市下の丁
武家屋敷(ぶけやしき)島原市下の丁島原城から西へ進むと見えてくるのが碁盤目状に区画された街並み。ここの一角に、70石以下の下級武士達が生活していた武家屋敷が残されている。石垣が並ぶ通りの中心には、当時生活用水として利用されていた水路が残り、その静かな流れに癒されます。
旧島原藩薬園跡(きゅうしまばらはんやくえんあと) 島原市小山町
旧島原藩薬園跡 (きゅうしまばらはんやくえんあと) 島原市小山町島原藩主松平忠誠が天保14年(1843)、シーボルトに西洋医学を学んだ賀来佐一郎に開かせた薬草園の跡です。この薬園跡は、昭和4年に奈良県、鹿児島県と共に、日本三大薬園跡として国の指定を受けています。現在薬草見本園として、日本各地と中国から取り寄せた薬草・薬木が栽培されています。
仁田峠展望所(にたとうげてんぼうしょ) 雲仙市小浜町
仁田峠展望所(にたとうげてんぼうしょ) 雲仙市小浜町春はミヤマキリシマ、夏は新緑、秋は紅葉、冬は霧氷など季節ごとの雄大な自然が満喫できる展望所。仁田峠から標高1333mの妙見岳までは雲仙ロープウェイに乗ると約3分で到着します。
雲仙お山の情報館(うんぜんおやまのじょうほうかん) 雲仙市小浜町
雲仙お山の情報館(うんぜんおやまのじょうほうかん)雲仙市小浜町雲仙の火山と温泉の仕組みについてジオラマや模型を使って詳しく解説。定期的に雲仙に生息する虫や鳥たちを眺める自然観察会や、夏休み期間中には早朝ガイドウォークなどが開催されています。
原城跡(はらじょうあと) 南島原市南有馬町
江戸幕府のキリシタン弾圧に対して、寛永14年(1637)に起こった島原の乱は、天草四郎時貞を筆頭に領民がこの地に立てこもり全滅した悲しい歴史があります。現在は天草四郎の像と十字架の碑が残るだけですが、キリシタン関連の遺物も数多く出土しており、原城文化センターに展示してあります。
土石流被災家屋保存公園(どせきりゅうひさいかおくほぞんこうえん) 
南島原市深江町
土石流被災家屋保存公園(どせきりゅうひさいかおくほぞんこうえん)南島原市深江町平成4年8月8日〜14日の土石流で被災した家屋11棟(1棟移転)がそのまま保存されており、このうち比較的状況の良い3棟を展示場内に半永久的に保存しています。家屋は平均して2.8mほど土砂に埋没しています。

シリーズ企画「交流で農山漁村を元気に!」

農山村でがんばる人に「農村マイスター」の認定を

 この収穫の秋に、江迎町の「黒大豆オーナー制度」の集まりに参加させてもらった。
抽選で割り当てられた畝に自分の名札を立て、指導してもらいながら収穫する制度で、平成13年から始まり18年には76名が参加し、味噌づくり等の体験や昼食会で、遠くは北九州から町外の参加者が集まり、お互い馴染みの人が多いのに驚いた。今年は夏の暑さが続き、提供する畝が限られたため48名に限定したという。
  世知原町の稲刈りにも参加した。稲刈り、としゃく(稲干し)、脱穀、精米の現場体験を農家の人から指導してもらい親子連れの子ども達に大いに受けていたことが印象的であった。新米のおにぎり、焼き芋のご馳走など旬のお土産に私も現場研究?を忘れて楽しんだが、生産から食卓までのまさに「農と食育」の野外教室であった。
  各地で行なわれているイベントも実は農家や地元のボランティアによって支えられていることである。農山村が抱えている今日的諸問題には社会的、構造的な課題が多く、解決、縮小には直ちに答えられないが、交流によってふるさとの田畑、森林を維持し、伝統・暮らしの行事や景観、環境を持続する機能を支えている人たちががんばっていることである。
農業振興策の一つとして、地域でがんばるリーダーを奨励し、活動しやすくするためにも農水省または県による「農村マイスター」の認定制度を設けたい。
  付言として、参加者の立場から、各地で行なわれているイベントを一目でわかる「県内の年間カレンダー」の情報が欲しい。

片岡 力(長崎国際大学)

NPO法人 がまだすネット

今回は、島原半島の交流人口拡大と地場産業の活性化を目的として、平成16年7月に設立(平成17年9月NPO法人化)されたNPO法人がまだすネットをご紹介します。

島原半島特産「ばれいしょの収穫体験」「がまだすネット」は、島原半島の農業、漁業、商工業、旅館業など様々な業種の84の個人・団体が会員となり、農業体験、漁業体験、自然体験、創作文化体験、料理体験、歴史探訪の6つの分野で、98の体験プログラムを提供するNPO法人です。設立後間もないため、今のところ修学旅行生等をどんどん集客できる状況にはありませんが、平成18年度に「がまだすネット」を通じて体験を行った方は、個人客を中心に2,600名にのぼります。

設立のきっかけは、雲仙普賢岳噴火災害からの復興を目指して、平成9年度から実施された「がまだすアグリ王国」事業にさかのぼります。当時の王国では、国民を募集して、農産物等の情報発信や農業体験ツアーなどを実施していました。平成16年度に王国事業が終了することとなったとき、これまでのノウハウを引き継ぎ拡大しようと、農業、旅館業、地域リーダーなど民間の19人が発起人となって会員とインストラクターを募集し、「がまだすネット」が設立されました。設立当初から活動にたずさわっておられる相良淳郎(さがらあつろう)事務局長にお話を伺いました。

火山学習プログラム事務局の役割は、体験の予約窓口、メニュー開発、インストラクター養成、営業活動などと幅広く、これを支える収入は、会費や体験紹介料と自治体からの事業補助金のみで、決して潤沢とは言えないようですが、相良事務局長は「誰かがやらねば」という意気込みで、アルバイトの女性と2人で業務をこなされています。

運営を行っていく上で欠かせない、「新しい作物を手がけたので体験をはじめたい」、「集客方法がわからない」、「体験をやりたいが接客がわずらわしい」などの情報は、半島中の農家、地域の郷土料理の会、伝統文化保存会などから相良事務局長に直接集まってきます。「運営の鍵は個人ネットワークで、このための基本は現場回り」と言われます。また、「この指とまれ方式で、やる気のある人が集まっている」ことが「がまだすネット」の特徴とも。「もともと、日本初の国立公園や3つの温泉地を有するこの地域では、最初は体験型観光に対する興味は薄かった」とのことですが、農業に依存する割合が多いこの地域において、農業をはじめとする地場産業を盛り上げることが地域の活性化につながるとする「がまだすネットの活動が除々に浸透し、最近ようやく『体験』の価値がいろんな方面で認知されてきた」とのことです。 「本当は、インストラクターとしてお客さんの相手をしたい」と言われる相良事務局長は、 農協の企画・広報部門に10年以上の勤務経験の後この活動に飛び込んだとのことですが、当時から体験型観光の必要性を感じていたそうです。「現状は、まだまだ自分のやりたいことの半分程度。バスツアー企画など今すぐにでもやれることは一杯あるが、人材が足りない」とも嘆かれていました。

子供にも人気「田んぼの生物観察」最後に、相良事務局長から今後の課題をお聞きしました。それは、「将来的には、島原半島全体の情報をあつかう、本当の意味でのインフォメーションセンターをつくりたい」とのことです。そのためには、「情報交換を通したアイデアの捻出やネットワーク拡大のために、異業種の仲間をたくさん集めたい。このほか、さらに行政の協力を得ることが必要だ。」と、今後の抱負も語っていただきました。

お知らせ

次回配信のお知らせ

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